大人気の活動!インタビュー&幾何立体
子どもたちは、ピースボートの船旅で様々な言語に触れる生活をしています。子どもの家GET(*)では英語やスペイン語を、訪れる寄港地では現地の方が挨拶をしてくれ、船内ではクルーやスタッフ、様々な国籍のお客さんと話をする機会がありました。(*:ピースボートの洋上で行う、英語・スペイン語を集中的に学ぶことができる、語学プログラム「GET(Global English / Espanyol Trainningの略)」のこと)
言語を習得する時期の子どもたちにとって、とても刺激的な環境です。この素晴らしい環境で、『インタビュー』と題して自分たちの話したい言葉を色々な人に教えてもらおう!と考えました。
年長の子どもたちに「ジヘちゃん(韓国からの女の子)や、ローフェイちゃんやチョモチェンくん(大陸中国からの兄弟)、GETの先生とお話したいことある?」と質問してみました。
すると…
「いっしょ に あるこう って きき たい!」
「ここ に すわって って いい たい!」などなど、話したいことが次々に出ます。
紙に自分で聞きたい質問を書き、いざ、船内先生を探しに出発します!
「お仕事している人もいるから、まず『今お時間いいですか?』って聞こうね」と、約束をしてインタビューを始めます。
「あ! かんこくご はなせる ひと(船内先生) いた!」
「いま、 おじかん いい です か?」
快く「はい、いいですよ!何ですか?」と、答えてもらうと…
「『いっしょ に あるこう って』なん て いう ん です か?」
「カッチ コロヨ」って言います。
「ん!?」聞き慣れない発音で、なかなか聞き取れなくても、何度も丁寧にゆっくりと発音してくれる船内先生たち!
忘れないように、書いておくことにしました。
「かっち ころよ?」
「かけた!」
翌朝登園すると、ある子どもからこんな質問がありました!
「ジヘちゃん の ことば きき たい から、 きょう も インタビュー いける?」
どんどん話せる言葉が増え、相手の言語でコミュニケーションできるのが嬉しいようです。
早速ジヘちゃんと一緒にランチへ出かける時に「かっち ころよ〜」と、優しく声を掛けていました。
最近、子どもたちに人気のある、もう1つのお仕事(*)が、『幾何立体』です。(*:子どもが真剣に取り組むことは “Play / 遊び” ではなく “Work / お仕事”。モンテッソーリ保育の現場では、子どもの活動を “Work / お仕事” と表現します)
小学生のお姉さんが先生と一緒にやっていたのを見ていた子どもたちから声があがりました。
「わたし も やりたい!」
「ぼく も りったい の おしごと したい!」
『幾何立体』とは、10体の立体を感覚的に知り、視覚から環境にある同じ形を見つけたり、面の形を知ったり、楽しい活動です。
10体を一気に暗記するのではなく、3体のみをカゴに入れ、言語の3段階のレッスンで「これは立方体」と最初に名称を伝え、次に「立方体はどれ?」と質問します。何度か「立方体はどれ?」の2段階目を繰り返し、最後に「これは何?」と質問し、子どもたちに「りっぽうたい」と答えてもらう方法です。
この3段階のレッスンは、マリア・モンテッソーリ博士が100年以上前に考えた方法で、『幾何立体』以外の様々な活動に応用することができます。
「これ、何に見える?」
「え~? たまご?」
「そう! だから『たまご体』」
「え、 たまごたい なの?!」
名称を伝える時に、子どもたちが1番嬉しそうなのが『たまご体』です。
近くでじーっと見ていた、4歳たっくんが…
「あの 『たまごったい』 の おしごと やって みたい!」
とっても魅力的に見えたようで、あっという間に『たまご体』を覚えてしまいました!
ある日、6歳のともき君が「ぼく ぜんぶ おぼえ ちゃう!」と、張り切っていました。
彼は「どうする?もっと繰り返しする?」と先生に聞かれると、大抵「つづき は こんど〜」と新しいもの好きですが、今回は目の色が違っていました。
3体ずつ名称を覚え「もっとする?」と聞いてみると、「もっと する!」
更に3体名前を覚えても…
「まだ やる!!」
「あと4つあるけど、どうする?」
「きょう やっちゃう!」と、あっという間に10体の名称を覚えてしまいました!
面の形も探します、正方形や長方形、正三角形、二等辺三角形とたくさんの図形の名称が言えるようになります。
お友だちが楽しそうに立体を覚えているのを見ていた、5歳のそら君も…
「ともくん が やって る の、やりたい ん だよ〜!」
「これ は ね トーマス の えんとつ の かたち!」
「これ は やね!」
同じ形を見つけるのが大好きです。
そら君に続き、小学生のるいちゃんも卒園式の数日前に「『きかりったい』やりたかった の♪」と告白。
「卒園まで日がないから、毎朝、子どもの家が始まる時間ぴったりにおいで」と、声をかけると、翌日から朝1番に登園するようになり、あっという間に10の立体を覚えてしまうのでした!
子どもたちのお仕事ブームは様々ありますが、98回クルーズ1番の人気仕事だったように思います。
(鹿糠恵利)