洋上からの報告(5):パナマ運河の仕組みを知ろう!
今日は、子どもたちのパナマ運河体験について紹介します。
まずは、パナマ運河の写真ツアーから。
夜明けとともに浮かび上がるパナマ運河の入り口です。
向かう先は、船より高くなっています。運河の高低差は26m。「船が階段を上る」壮大な仕掛けがはじまります。
早起きできた子どもたちは、ここから運河通航を眺めていました。
運河のしくみですが、船は前方の水門の直前でストップします。
後方の水門が閉まると、水門と水門に挟まれる形で出来た「プール」に大量の水が入れられます。
水位が一つ上の段と同じ高さになったところで、前方の水門がオープン。
船は前へと進みます。
こんなふうに、水門と水位を利用しながら、船は上に3段、下に3段、「階段」を上下し、高低差のある地形をゆくのです。
ここはクレブラ・カットというパナマ運河でも有名な場所。
運河建設前は、目の前の山と同じ高さまで、大きな山がそびえていたそう。
このパナマ運河建設が、どれほどの大規模工事だったかが伺えますね。
さて、見立て遊びよりも、なるべくなんでも、まず「本物」を体験することを大切にしているのがモンテッソーリ教育であり、それを「世界を舞台に」行うことができるのが、ピースボート子どもの家の自慢です。
運河を通行する、ということを実際に体験できるのは、船旅ならではです。
パナマ運河を抜ける日、大人の参加者の有志が集まって、パナマ運河紹介をしてくれました。
まずは世界地図の前で、今までどんな航路で旅をしてきたかをあらためて見てみます。
73回の航路の中で、地図上では陸続きに見えるところを探すと、2か所あります。
まずはインド洋から地中海へ抜ける部分を指さし、「ここはなんていうところだったか覚えてる?」
子どもたちに聞いてみると、ちゃたが「スエズ運河!!」と驚くほど速く答えます。
「そう!スエズ運河。よく覚えてたね~」と話は続き、地図上の船は大西洋を進みます。
ラテンアメリカが近づいてきます。
太平洋を指さして
「船はこちら側にある太平洋という海を通らないと日本に帰れません。
こっちまではどうやって行けばいいかな?」と問いかけます。
あけちゃんは
「こうやって下の方からいけばいいんじゃない?(チリの方を通っていくコース)」と答えてみたり
りりちゃんが
「ここの真ん中(パナマ運河)を通ってく!」と応じてみたり。
「そうだね。色んな行き方があるよね。下の方を通って行くこともできるんだけど、そうするとたくさん時間がかかってしまします。だから昔の人はここを通りたいと考えました。」
とパナマ運河を指します。
ここからちょっと難しい運河のお話。
スエズ運河は日本にお侍さんがいた頃にできたこと、そしてその50年後にパナマ運河ができたこと、初めに運河を作り始めた人(エッフェルさん)のことを話していきます。
「パナマ運河は太平洋と大西洋を繋げている大切な海の道なんだけど、作るのはとても大変でした。どうしてでしょう?
それは太平洋と大西洋の海の高さが違うからです。海の高さが違うのにどうやってパナマ運河を通るのか見てみよう。」
と話は運河の仕組みへと移っていきます。
まずは少しの水とスーパーボールが入ったペットボトルを子どもたちの前に置き
「このスーパーボールがみんなが乗ってる船です。ここに水を入れたらどうなるか…見ててね。」
とピッチャーの水をペットボトルに注いで行きます。
浮き上がっていくスーパーボールを見て「上にあがってく~」と声を出すこどもたち。
「そうでしょ?この船も水が増えたら上に上がっていきます。」と説明します。
そして画用紙で作ったお手製の運河断面図の登場です。
大西洋から縮小されたピースボートがきて門が閉まると水位と共に船も上がっていき次の水門へ移動します。
階段を上がるようにして運河を通ることがよくわかって子どもたちは身を乗り出して見ています。
「運河の幅は狭いから船が自分の力だけで通るのは難しいので両側から電車が引っ張ってくれます」
と言うと、5時から起きて水門通過の様子を見ていたちゃたがすかさず
「ちゃた見たよ!電車に引っ張ってもらってた」と教えてくれます。
口頭で説明していることと実際に目で見たことが一致することがとても素敵です。
「ガトゥン湖を抜けて、今度は運河の階段を下がって太平洋に入ります」と説明は続きます。
ガトゥン湖ではもしかしたらワニさんが見れるかも?と話すと、
りりちゃんが
「りりこ朝ワニ見たよ!川のところで泳いでて頭が見えたんだよ!」と一声。
「ほんとに?見れたんだ~すごいね。よかったねえ!」
まさかのワニに、企画していた大人たちもびっくりです。
最後は
「階段を上がる方はもう終わったけど、降りる方はまだ通ってないから見られるといいね」と締めくくりました。
一度聞いて図を見ただけではやっぱり難しいですが、
実際に通ったパナマ運河が少しでも子どもたちの中に入ったら嬉しいです。
余談ですが、パナマ運河紹介が終わったと同時くらいに、
1歳半のはすちゃんが「ちっち」と言って手を引き、トイレに向かいました。
ズボンを自分で脱ごうとして便器に座り、おしっこが出ました。嬉しいね!!!
お姉ちゃんのひすいちゃん(3歳)が
「はすちゃん、おしっこでるの教えてくれてすごいね。行きたくなったらまた教えてね」とにっこり。
大きな世界を舞台に、みんなで一緒に、少しずつ成長する子どもたちでした。