おやつの準備は自分で!
『子どもの家』では、午前中におやつを食べています。
レストランクルーが、オレンジ、グレープフルーツ、りんご、バナナ、トマト、きゅうりなどの、果物や野菜を運んできてくれるので、お盆を持ったクルーの姿を見ると、「きょうのおやつは、な~に?」と見に行く子どもたち。
クルーズ始まって間もなくは、「おやつにトマト?え~!?」と驚いている子、ツルツルした表面の大きなきゅうりを見て、「これ、な~に??」と不思議そうに触っている子など、反応が様々でした。
最近では、「やったー!きょうは、りんご!ひとり、なんこたべれるかな?」「グレープフルーツかぁ。あまいといいなぁ…」「きゅうりには、いっぱい、しおをかけてね~」と船のおやつにも慣れてきたようです。
おやつの準備は、子どもたちのお仕事(*)の1つです。
(*:子どもが真剣に取り組むことは “Play / 遊び” ではなく ”Work / お仕事”。モンテッソーリ教育の現場では、子どもの活動を “Work / お仕事” と表現します。)
『子どもの家』では、子どもに合ったサイズの道具を用意しています。
3歳以上の子どもたちは、本物の、子どもサイズの包丁が使えるよう、用意してあります。
危ないものを遠ざけるのではなく、役立つ道具として、最初に危険を伝え、正しい使い方を見せ、そして見守ることが大人の大切な役割なのです。何度も繰り返すことで、徐々に一人でできるようになります。
「だんだん、きれるようになってきた~!」と自賛するフクちゃん。
トマトを切るコツをつかんできたようです。
チーちゃんは、左手は“猫の手”にするという教えを忠実に守っています。真剣だけど、何だかかわいいですね。
りんごは、『りんごスライサー』という道具を使います。
初めて使う道具が物珍しくて、ハルくんはやりたくてしょうがない様子です。上からグッと体重をかけて、カットします。
小さいお友だちもおやつの準備が大好き!
大きいお友だちの姿を見て、「やる~!!」と集まってきます。
オレンジの皮をむいている、マサコちゃん。むいた皮は、ボールに入れます。
大きなきゅうりに塩をふって板摺りをするのはサッちゃん。
きゅうりを切るマナちゃんの横で、ツバキくんがトングを使ってお皿に移しています。
レストランから運ばるポットから、おやつ用のピッチャーにお茶を移します。レバーを押しながら注ぐのは、少し難しいのですが、「ぼくがやる!」と頼もしいハルくん。
チーちゃんもお茶の移すのが大好きで、朝の支度を終えてすぐ、「みんなが、のめるように…」と、つぶやきながら注いでいる姿が印象的でした。
おやつの準備は、“みんなのため”に、やっているお仕事でもあります。
おやつの準備ができたら、4人掛けの机をセットします。その日のおやつによって、『ひとり2こ』などと、来ている子どもの人数、切ったおやつの数、計算し考えてから、カードに書きます。
『子どもの家』では、大人が指示するのではなく、自分でやることを自由に選択しています。もちろん、選択できる自由の中には“制限”があり、ある枠組みの中で選択した後、結果を経験できるように、大人は見守っています。おやつも、席が空いていれば、自分が食べたいときに、自分でお皿やフォーク、コップを持っていき、食べ始めます。「今日は食べない」という選択もオッケーなのです。
小さいお友だちは、どんなものでも必ず食べに来ていますけどね。(笑)
こんなふうに、自分たちでおやつを準備し、食べています!
番外編:こんな日もありました。
グレープフルーツが運ばれた日のことです。ハルキくんが1房ずつ分けていると、種がポロリと出てきました。「あ!たね!!」とハルキくん。その種を紙に貼ることにしました。
「“ぐれーぷふるーつ”ってどうかくの?」と聞きながら、自分で種を貼ってシートを作り、嬉しそうにみんなに紹介していました。日本のお家でも、お母さんがたくさんの植物を育てているんだそうです。大切そうにキャビンに持ち帰りましたよ!
この出来事から、他の子どもたちもおやつの準備で種を見つけると、種シートを作るようになりました。子どもはいつでもどこでも研究者のような眼差しです。
(平松亜衣)