子どもと「おてつだい」

子どもたちは、赤ちゃんのときからずっと、身近にいる大好きな大人であるお父さん、お母さんのしぐさを見ていて、「ぼくも(わたしも)やりたい!」と思っています。

 

「お料理ってね、こうつくるのよ」

「洗濯物は、こうするの」

 

と、大人なら言われた順にやってみることもできますが、6歳前の子どもたちは世界のすべてを「体験することによって」理解し、自分の知識とします。

 

大人にとっては簡単な、手と目の協応、そこに意識を集中させることも、子どもはさまざまな体験を通して習得中で、大人がやっているような仕事を「じぶんでやってみる」ことを、本当に喜びます。

 

大人ならうんざりするような仕事も何度でも嬉々として繰り返すその姿は、まるで、自分の指先や感覚が洗練されていくのを確かめて楽しんでいるかのよう。

 

子どもの家では、机やいすがおやつの食べ残しや、絵具などで汚れているのを発見すると誰かが嬉しそうに「机、洗おう~っと」と動き出します。

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机やいすを洗う活動のために用意されたたらいの中には、

 

・道具一式をならべるための大きな布、
・ジャー、
・小さなバケツ、
・子どもサイズのスポンジ(お皿つき)、
・子どもの手のひらサイズの石鹸(お皿つき)、
・子どもサイズのブラシ(お皿つき)、
・きれいになった机やいすをふく乾いた布、
・エプロン

 

が入っています。
道具一式を置く大きな布があること、濡れた道具を置くお皿がセットで用意されていることで、「ああ~もう、こっちがぐちゃぐちゃになっちゃった!」という無駄なストレスを子どもも大人も感じずに済みます。

 

大人が一度、子どもに声をかけ「ねえ、机って、自分であらってみたこと、ある?やりかた、見ててね。」と丁寧にそのやりかたを見せると、子どもはそれはそれは嬉しそうに「やりたい!」「わたしも!」とウズウズするようです。

 

道具をひとつずつ出し、机を洗い、道具を片付けるところまでやってみせると、見ていた子はさっそく我も、と汚れのあるテーブルを探し、棚に片付けた道具を両手で抱えてやってきて、いそいそと作業開始!
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それはそれは丁寧に洗ってくれます。
机や椅子の表面があわあわでいっぱいになり、それがまた自分の力で消えていくのが面白いんですね。

 

単純な作業を、大喜びで何度も繰り返す子どもたちの動きを見ていると、「机を洗う」という一見単純な仕事の中に、実はたくさんの大切な要素が入っていることに気がつきます。

 

・ 自分の暮らす環境の中に「汚れている」ものがあれば、自分できれいにしようと感じる心
・ ジャーに水を入れて、こぼさず運ぶ集中力とバランス
・ スポンジをやわらかくしぼったり、汚れが落ちにくい場所は力を入れてふくなどの動きの調整
・ 道具を運び、洗い、片付けるまですべての「机を洗う」作業の行程を自分なりに覚え、遂行する集中力

 

できるようになってしまえば「あたりまえ」なことばかりですが、子どもたちはこうしたことひとつひとつを経験を通して習得していきます。
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世界中の子どもたちが、2歳くらいの頃から

「おてつだい(する)!」

「いっしょ!(にやりたい)」

と言い出します。

子どもたちは、自分の成長になにが必要か、自分でしっかりわかっているんだなあと思います。

 

「子どもの家」での子どもたちの様子をこうして観察していると、子どもが手と目を協応させる練習の機会、順序を覚えようとする機会、自分で水を運ぶバランス感覚、そしてなにより集中して仕事を終えたときの「じぶんでできた!」を感じる機会、なるべくたくさん作りたいですね。

子どものお手伝いを招き入れると、作業には倍の時間がかかります。

だからといって、「あぶないから、いいわ。あっちで遊んでて」なんて言ってあしらうのはもったいない。

 

三つ子の魂百まで、とは本当によくいったものだと思います。

小さいころから「自分のことは自分でする」「みんなのために仕事をする」が習慣になっていた子どもは大人になっても自然とそうふるまうことができるでしょう。

 

(逆に、小さい頃、いちばん「やりたい!」時期に仕事を奪われていたら、小学生になって、できそうな年頃になった子どもにお手伝いをお願いしても習慣にないので「やだよ~。あっちで遊んでる」となってしまうのかなとも思ったりして・・・ ひえ~)

 

・・・なーんて、母としての自分が家庭での毎日にそんな環境をいつも作れているかといえば、難しいことなのですが、笑。

 

子どもたちの「じぶんでできた!」を応援することは、20年後の未来を育むことでもあります。

 

母としても、毎日、少しずつ頑張りたいと思います!

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