洋上レポート(19):戦争はいらない
月がとてもきれいな夜です。ビルの明かりなどない海原では月の光が蛍光灯のように眩しく見えます。
8月15日の終戦記念日。
船内では戦争を学び「平和について考えるイベント 」が1日かけて行われました。
子ども達は子どもの家が終わった後、「かわいそうなぞう」の絵本をプロジェクターで見ました。
東京への空爆が続く中、檻が壊れて動物たちが暴れたら大変だからと上野動物園の動物たち、とくに子ども達の人気者、象の花子を殺さなくてはならなかった、悲しい時代の物語です。
この旅で寄ったシンガポールの動物園で象に乗った記憶も新しい子どもたち。
みんなにとって、動物園はとっても楽しくて大好きな場所です。
「今日は8月15日。66年前の今日、戦争が終わりました。
66年前って、みんなのおじいちゃんやおばあちゃんが生まれた頃、昔むかしのお話だよ。
今日は“戦争はもう嫌だね”って思い出す日なんだよ。
今は戦争も終わって、みんながニコニコで、仲良しが1番楽しいなと思います。」
と、絵本を読んだ後、少しだけ終戦記念日のお話をして閉じました。
絵本を読んだ後は、みんなで10階のプールデッキに遊びに行きました。
ちょうどお兄さんやお姉さん達が、夜の平和イベントに向けて、平和を願うダンス練習をしているところでした。
迫力あるダンスに子ども達の目は釘付けです。よくよく見ると、みか先生もみほ先生も踊っています。
「戦争が二度と起こらないように、みんなで仲良しでいられるように祈るダンスなんだよ」
とのんちゃんが言うと、
「お祈りしなきゃ仲良しでいられないなんて変なの~!!」と、めいちゃん。
「どうして戦争やめて仲良くしようよって誰も言わなかったの?」と、横にいたにこちゃん。
ないきくんは翌日お風呂から上がると突然、「どうして戦争が起こるの?」とママに質問をしました。
ママ達がその日に観た映画の話をしていると、りほちゃんは
「ママ達、戦争のお話してるでしょう?戦争はぞうさんが死んじゃってみんなが悲しいからダメだよ!!」
とお話してくれました。
「戦争を知らない子ども達」と言われ続けていましたが、今はもう、「戦争を知らない大人達」の時代です。
8月15日の終戦記念イベントは影絵があり、ダンスがあり、大人達が大合唱をし、月と星空の下で、とてもあたたかい時間が流れていました。
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