第2回「ピースボート子どもの家」、出発!
第69回「地球一周の船旅」が今日、横浜港を出発した。
これに乗って、2歳から5歳までの子どもたちが6人、ご両親とともに地球一周の船旅にでる。
私は、今回は残念ながら陸からの後方支援だけど、来年の参加を検討してくれている人も多いので、
第2回「ピースボート子どもの家」の船の上の様子はこのブログでも報告しようと思っている。
いいな、いいな。
船の上で4歳になる娘のレンちゃん(写真、上)と一緒に乗りこんでいく同僚のあゆを見送りながら、去年の自分を思い出し、私もまた行きたいよう~という気持ちでいっぱいになっている。
「もっとしりたい」「じぶんでやりたい」を最大限に尊重してもらえる船の上のモンテッソーリ保育園で、日々できることが増えていって、いつもなんとなく、満ち足りた表情をしていた2歳の桃。
世界中に友達を作って、野生のイルカやくじらを船から見つけるキラキラした毎日は、親子の一生の宝物だ。
帰国後、元気いっぱいにパパの大悟に飛びついたと思ったら、訪れたたくさんの国の話をして、いろんな国のことばで挨拶を披露して、家に戻れば脱いだ自分の靴をきちんとそろえて大悟をびっくりさせていた。地球一周とモンテッソーリの相乗効果。
親子ともに、ものすごく成長した旅だった。(▼「親子で船旅日記」のもくじは、こちら )
ギリシャのお宅でピスタチオ三昧の歓待にご満悦のモモ。当時2歳になったばかりです。
あの旅を、また新たに6組の親子が経験するんだと思うと、送り出す側も奮い立つ。
子どもたちとご両親の一生の思い出作りのためだ!と、
昨日は「子どもの家」の環境づくりを最終チェックするために、朝から大黒ふ頭に出勤した。
「就学前のいちばん大切な時期を親子で旅するなんて、子どもにとっては何よりのギフトですね」
「地球一周して帰国した子どもたちに、ぜひ会いたいです」
「私が教師として一緒に旅したいくらいです」
と、全国の保育園、幼稚園、教具屋さんのあたたかいサポートに支えられて、教具や机・椅子はほぼすべて、リサイクルでそろえることができた。
(ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました!)
2歳から6歳までの子どもたちそれぞれの発達の段階と「やってみたい」気持ちにぴったりの
感覚教具や数や言語の教具たち。どれもおさがりだけど、乗船していく先生たちや
ボランティアのみんなの愛情で、それはそれはきれいに磨かれた。
新品の匂いプンプンの環境にわくわくするのもいいけど、
たくさんの子どもに愛された匂いが残っているこの感じ、すごくいい。
ピッカピカに磨き直されたおさがりの教具たちは、とてもいい表情で、
今日から新しく乗船してくる子どもたちを楽しみに待っているかのよう!
モンテッソーリは割高のエリート教育だなんて、いったい誰が言ったの?
というくらい、ないものすべてを手作りしている空間。
自作の貯金箱(コインはもちろん各寄港地から!)とつま楊枝おとしのおもちゃ。
こういうので心行くまで「落とす」を繰り返せると、「落とすのだいすき」な時期の子どもたちでも
食事中にごはんを床に落とす実験をしなくて済む。
手作りの折り紙絵本。
文字は一切なく、折る手順がひとつひとつ、その過程ごとに貼ってあって、子どもにもとてもわかりやすい。
机や椅子は、慣れないノコギリとヤスリを駆使して、2歳用、4歳用、6歳用の3種類のサイズを用意した。
子どもサイズの小さな雑巾やミトンだって、手縫いした。
自分で洗ってしぼった雑巾を見せながら、「ちゃいろは、ゆかそうじ。あかは、テーブルよ」
と桃が話していて、実の母親なのに度肝を抜かれた。(当時のモモ、1歳11カ月)
小さな手にぴったりのほうきや窓ふきセットだってあるし、
2歳からの小さな手にピッタリの縫いさしセットや、鉛筆削り、小さな黒板消しもそろっている。
子どもはいつだって、大人の真似をしたい。
大人の道具は大きすぎてうまく使えないけれど、
子どもサイズの環境があれば、子どもが「じぶんで」できることはたくさんある。
自分でやりたいことを邪魔されずにとことんやりぬいて、
「じぶんでできた!」ときの子どもたちの満たされた表情は、本当にまぶしい。
「ママのおちゃ、いれてあげたのよ」
そんな感じで、「子どもの家」には、すべてが子どもサイズの「ホンモノ」で用意してある。
教具や道具はどれもピッタリ収納できる場所が決まっていて、大人に聞かなくたって場所がわかるように、
色やかたちで整理されている。だから子どもたちにも、静かに満ち足りた顔をした子がたくさんいる。
子どもたちがヤダヤダと言って騒ぐのや、大人が「まだ小さいからやめておきなさい」「あぶないから返しなさい」
なんてしたり顔で投げかけてしまう言葉は、実は大人の側の怠慢であることも多いな、と気づく。
ヤダヤダと騒ぐ子どもをしかりつける前に、どんな環境なら子どもが自分でもできるか、
どんな道具なら危なくないかを、大人の側ももっと真剣に考えるべきだ。
(と、自戒の念もこめて書く)
ちいさな座布団のかわいいこと!
「ピースボート子どもの家」でも、環境でどう子どもたちを「ウェルカム!」するか、
何人もの大人が知恵を寄せ合って考えぬいた。穴あけパンチひとつとっても、いくつか並べて、
どれがいいかを真剣に吟味する先生たちに、心底頭が下がる。
最近、去年の洋上モンテッソーリ効果が薄れたか、2歳児全開で「ヤダヤダ」が頻発している桃。
でもそういえば、彼女のヤダヤダの多くは、もしかしたら住環境を作っている私に端を発しているじゃ・・・。
と、ハッとする。
忙しさにかまけて片付けさえもままなってないけれど、子どもは大人を見て育つ。
うちでは子どもフレンドリーな環境を作れているかしら。私の気持ちに余裕はあるかしら。
と、母としての気持ちもリフレッシュさせてもらった。
洋上「子どもの家」は、大人でさえ「癒される~♡」と言ってくつろいでいった船内イチバンの空間だから、きっと子どもたちは大喜びするに違いない。
前列真ん中は子どもの家アドバイザーの深津高子さん。左が今回のコーディネーター、新藤あゆみ。右が私。
後ろ右が今年の先生、金元久子さん。真中がアシスタント保育士のカニちゃん。
後ろ左は去年アシスタント保育士をになってくれた奈々さん。来てくれて、ありがとう~!
思い起こせば1年前、
第1回子どもの家を立ち上げた時は、教具集めも環境づくりもすべてゼロからのスタートだった。
出港の1週間前になっても「連絡帳がない」「お昼寝用の畳がほしい」とバタバタ大騒ぎだったのが懐かしい。
自分でコーディネートしたプログラムだけど、自分の娘が参加者でもあり、
「本当に大丈夫かな」という思いも抱きつつの出港・・・。
結果、大成功で、子どもも親もみんな大きく成長して、ニッコニコで帰国した。
(今だから言えるけど、参加してくれた皆様は、勇気あったよね~。信頼してくれてありがとう。笑)
今回は、それを踏まえた2回目。
第1回の帰国から9ヶ月間かけて、6人の子どもたちには申し分ない素晴らしい環境を作った。
寄港地でのプログラムも、親子に目線をあわせて充実させた。
中国・アモイで家庭訪問と家庭料理体験。
動物が(サファリ顔負けで)ノビノビすごしている、シンガポールの動物園探索。
ヨルダンの難民キャンプで出会う、パレスチナの子どもたち。
イタリアの農村でアグロツーリズモ、リモンチェッロ作りを体験。
フランス、ルアーブルでは世界遺産のモンサンミッシェルを訪ね、
ムーミン谷を彷彿とさせるフィンランドの田舎でパン作り。
ノルウェーの森にある、モンテッソーリ小学校で交流し、
ベネズエラの子どもオーケストラの代表たちと交流。
ジャマイカでは、レゲエフェスティバル!!
各寄港地に5~10種類のツアーが用意してあるので、書いていたら、きりがない。
船の上では、子どもたちが、訪れる港で出会う子どもたちへの贈り物を用意したりもする。
国旗作りや地理パズル、絵を描いたりすることで、訪れた国で親子で体験したことを次の日の活動で表現していく。
去年参加した5歳の美句ちゃんは、ピースボート乗船前、
「学校にいったら、べんきょうしなくちゃいけないから、いやだ。どうして(来年から)学校にいくの?」
とお父さんに聞いていた。
うまい答えがすぐにはみつからず、答えを探す意味もこめて2人で地球一周に参加したところ、
美句ちゃんは帰国後に
「みーちゃん、いろんな国の人とお話できるようになりたいから、べんきょうしたい」
って言ったんだって。
美句ちゃんはお友達作りが上手で、ひげもじゃのレバノン人のゲストにもすっかりなついていたし、
ベネズエラ人のお兄さんお姉さんと仲良しになって、一緒に楽器を楽しんでいた。
ポルトガル語が堪能なお父さんが、スペイン語圏で大活躍するのを見て、触発されたかな。
たった3か月のプログラムだけど、これって本当に、素晴らしい原体験の宝庫だ。
地球一周とモンテッソーリのコラボレーションは最高で、ひとりの母として、また行きたいと思わずにいられない。
行きたい、行きたい、行きたーい! あゆ、れんちゃん、うらやましい~!
次回、第3回「ピースボート子どもの家 」は2011年夏、74回クルーズでの実施を予定しています。
クルーズ詳細(日程、航路など)の発表は、今年の夏になります。
興味のある人は、資料などもお送りできます。お気軽にメッセージくださいね!!
(かくいう私も、来年の乗船を狙う母親のひとりです)