異年齢教育の醍醐味:小さな先生たち
子どもたちが日本を出航して、早67日が経過しました。
「はじめまして」で出会った子どもたち14人も、船内での暮らしが日常になり、みんなが兄弟のように毎日の時間を重ねています。
ピースボート子どもの家では2歳から6歳の子どもが、毎日9時から15時半まで一緒に過ごしています。
「3歳=年少さん」「4歳=年中さん」「5歳=年長さん」と横割りで区切ってクラスを編成しないので、異年齢ならではの、見ていて微笑ましい場面が日常の中にたくさんあります。
小さい子が、大きい子のすることを、よ~く観察して真似る姿も、大きい子が、小さい子に寄り添う姿も、ごく自然に存在します。
クルーズのはじまりから、大きい子のしている活動に興味津々で、誰かが使っていても 「これしたいの!」 と、ついつい手を出してしまう存在だった小さい子たちも、たった2ヶ月間の船内生活で、ぐんと成長しています。
集中しているお兄さん、お姉さんの姿に 「みてもいいですか~?」 と声をかけ、隣でじーっと待つことができるようになり、「みてるだけ~。」と言って、ちょこんと座っていたり。
6歳以下の子どもたちは、環境からの吸収力が人生の中でいちばん大きな時期にいます。
「優しさ」について聞かされるよりも、優しい人と過ごしていれば優しい子どもになるし、「静かにしなさい」と言われるよりも、穏やかに声をかけられていれば自然と穏やかな子どもになる。
だから、モンテッソーリの先生たちは、子どもを言葉で制することよりも、子どもたちに実際にやってみせることを大切にしています。
子どもに用があっても、「終わったら教えてね」と声をかけ、集中しているときに決して邪魔をしない。
大人から見たら簡単な作業に、子どもが何分も時間をかけていても、「手伝ってもいい?」と意志を確認することなく手を出したりしない。
そういった大人の背中を、子どもたちはしっかり見て、そのまま吸収しています。
言葉で伝えれば、その場はすぐにまるくおさまりますが、それよりも、ゆっくりと、大人や年長の子どもの手元を見て吸収するほうが、子どもたちに根付いていくのかな~と信じて、先生たちは頑張ってくれています。
大きい子は、自分よりも年齢の小さい子に、すごくやわらかく関わっています。
ただ手を出して手伝うのではなく、自然と「てつだう?」「じぶんでする?」と、本人に聞いて気持ちに寄り添う様子。
どうにもこうにもその子ひとりでは難しそうなことに取り組んでいるときだって、小さい子が、「自分で!」と言えば、そっと見てくれている姿があります。
自我が強くなってきた2歳児の子にとっても、そんなお兄さん、お姉さんの存在が心地良く嬉しそうです。
もちろん、小さなけんかは日々ありますが、それもなるべく子どもたち同士で解決できるように、先生たちは見守ります。
自分の気持ちを言葉にしたり、相手の顔をみて気持ちを知ったり、泣いたり笑ったりの関わりの繰り返しで、また成長し、仲良くなっています。
14人の子どもたち。
それぞれに本当に個性豊かなメンバーですが、みんなの心優しさが日々、音を立てるようにしてすくすくと育っていて、日常のいろんな場面でほっこりした気持ちになってしまう先生たちでした。