洋上レポート(17):アラブのトイレ
ドアのないトイレ。
トイレットペーパーのないトイレ。
お金を支払わないと入れないトイレ。
穴しかないトイレ…
毎日使うトイレだから、各寄港地のトイレの違いは、子ども達にとって面白いみたいです。
ヨルダンで一緒に行動していたニコちゃん、ミリちゃん、リホちゃん、モモちゃん、アンちゃん。
レストランで昼食を済ませ全員でトイレに入ると、便器の横に小さなシャワーが付いていました。
子どもたちに付き添ってくれていたのんちゃんと、子どもたちとの会話を紹介します。
りほちゃん:「トイレにシャワーが付いてる~!!ぐふふふ」
のんちゃん:「ヨルダンではトイレットペーパーを使わずに、手でお尻を拭く人が多いんだよ。お尻を拭く前と後に、このシャワーで手を洗うんだよ」
みりちゃん:「え!!手で!?きたな~い!!!!!」
のんちゃん:「そうかなぁ。みんなは毎日シャワーを浴びる時、髪の毛は手で洗うでしょう?それと同じじゃない?お水を使わないで、トイレットペーパーだけで髪の毛洗うの難しいもんね。もしかしたらお尻も、毎回、紙で拭くより、お水で洗う方がキレイかもしれないよ」
にこちゃん:「…そっかぁ。トイレットペーパー使わなかったら、木だって切らなくていいもんね」
ももちゃん:「え~じゃあモモ、ちょっとやってみよ~っと!!」
りほちゃん:「いいなぁ!!りほちゃんだってやりたい!!」
子どもには、差別の気持ちも固定概念もありません。
目の前の世界を、ありのままに受け止めることができる天才です。
大人の声かけひとつで、子どもの世界観やおおらかさはいかようにも広がるんだなあと、あらためて思います。
…さて、
シャワートイレを体験した後は、街の中をみんなでお散歩。
ママ達は、子ども達がどんな反応をするのか、内心とっても楽しみにしていましたが、市場でヤギの頭がついたままのお肉を見ても、頭から足下まですっぽりと布で覆い、全身のうち、目しか出ていないイスラムの民族衣装を着ている女性に出会っても、みんなさほど不思議がりませんでした。
「モモが住んでる逗子のおうちと、何か違うもの、あるかな~?」
と歩きながら聞くと
「ちがうもの?い~っぱいあるよ!!のんちゃん目つぶって歩いてて、見てないんでしょ~。見てごらん、オクラもじゃがいもも大きいでしょ。腕時計だって売ってるよ。ここはヨ・ル・ダ・ンって言うの!!」
と、教えてくれました。
街中のおみやげ屋さんでサンボトルを作っているお店を発見。
ビンにいろいろな色の砂を詰め、ラクダなどの絵を描いて最後には一人一人の名前まで入れてくれます。お兄さんのて手さばきに、釘付けの子どもたち。
汗をいっぱいかいたあとは、みんなで顔の半分はある大きなアイスクリームを食べました。
口のまわりをチョコレートでいっぱいにしながら「わ~!!ほっぺがぽろぽろ落ちちゃうよ~ヨルダンって世界で1番おいしいアイスがあるんだね~!!」
と、ニコニコです。
食べたこともない食べ物、見たこともない風景、聞いたこともなかった言葉、旅の中で出会うそれぞれの文化がもつ多様性。
その小さな1つひとつは、そのうち忘れてしまうのかもしれないと思います。
だけど、まだ固定観念や差別心がない子ども時代に、たくさんの違いに出会うことは、「そういうものもあるのか」という許容量、寛容さ、受容力の広がりに繋がっていくのでしょう。
こうして「違って当然、違うからこそ面白い。みんな違ってみんないい」という暗黙のメッセージを、子ども達は身に付けていくのかもしれないと思います。