舞台に立つ
上が姉のモモちゃん、下が妹のアンちゃん
モモちゃん、アンちゃんのママのお仕事は、もう10年間も「ピースボートスタッフ」です。
陸の上でも船の上でも、ママがマイクを持って人前で話をしている姿は何度も見ているし、それはモモちゃんやアンちゃんにとって特別なことではありません。
1歳のアンちゃんでも、「いってきまーす」とおままごとの鞄を持って出かける先では、「いとうあんです」とマイクを持ってお仕事の真似をします。
4歳のモモちゃんは、「モモも、おおきくなったらマイクのおしごとするんだ~」と話してくれます。
そんな二人も、お船に乗ってからは、ママ以外にもマイクを持つ色々な大人に出会います。
たとえば一ヶ月程前、ボランティア通訳として船に乗船しているひろきくんが400人会場の大舞台のイベントで、司会の通訳をしました。
若干20歳のひろきくん、英語もスペイン語もペラペラでいつも大活躍していますが、その日は朝から大緊張でした。
何度も廊下を歩きながら練習をしていて、本番前は「あ~緊張する!!失敗するかも!!」と何度も言いながら廊下を歩いているのを、子どもたちもしっかり見ていました。
さて、先日行われた洋上の大イベント「紅白歌合戦」では、「子どもの家」のみんなは紅白両チームの応援団として、運動会同様「エビカニクス」を踊りました。
初の大舞台だった運動会では、緊張のあまり泣いてしまったり、カチコチになって動けなかった子も何人かいましたが、今回はみんなニコニコ!!
拍手喝采のできばえでした。
その直前の会話が楽しかったので、紹介します。
先生:「モモちゃん、もうすぐだね。ちょっとドキドキする?」
モモ:「するよー。でも、いいんだよ。ひろきくん、マイクのお仕事するまえ、いっつもドキドキするって言ってるもん。おとなだってマイクのお仕事するとき、ドキドキするんだよ」
…私たち大人は、子どもの前では常に「正しくあろう」「完璧であろう」と思いがちです。
失敗する姿や、間違えた姿は、子どもには見せない方がいいと思ってしまうことも無意識のうちにあるかもしれません。
だけど、肩肘をはらずに
「私も分からないんだ。一緒に調べてみよう」
「パパも知らなかった。教えてくれてありがとう」
「また間違えちゃった。次は気をつけるね、ごめんね」
と、あるがままの姿を子ども達に見せたり、改善策を一緒に考えたりすることこそがとても大事。
「挨拶しなさい」と言われるよりも、大人同士が挨拶をしている姿を見ているほうが、ずっと素敵に挨拶できるようになります。
「やさしくしようね」という言葉よりをかけられるよりも、優しくしている大人の姿を日々見ているほうが優しい子どもが育ちます。
「舞台で泣かずに頑張ろうね」という言葉よりも、緊張しながらも人前で頑張ることが出来る背中を見せるほうが自分の足でしっかり立って、表現できる子どもが育ちます。
紅白歌合戦、夏祭り、ミュージックフェス、ファッションショー…ピースボートには、大人が努力して準備し、涙するのを身近で感じられる場所がたくさんあります。
昔のコミュニティーにはあたりまえに存在した「晴れの舞台」、船の上だけじゃなく、今の社会にももう少したくさん作っていけたらいいなと思います。