「1番大きいと思う人、次に大きいと思う人」感覚の洗練日
「子どもの家」アドバイザーで水先案内人(*)の深津高子さんの講座がありました。(*ピースボートには、国内外の各分野の専門家がさまざまな区間で乗船します。「先生」ではなく、「同行者」の1人として、旅をより有意義なものへと導くナビゲーターのみなさんを、「水先案内人」と呼んでいます)
「子どもの家」で活動に使用している道具を使った、大人も子どもも参加できる講座を行いました。
高子さんより【ピンクタワー】の紹介がありました。【ピンクタワー】とは、ピンク色に塗られている10個の木製の立方体です。10個の立体の1辺は1cmから10cmまで1cmずつ変化していて、縦・横・高さの3つが変化する3次元の教具です。この10個の立体を積み上げて塔を作ります。
この道具は、目で見て、持って、3次元の大きさの変化をとらえ、大きい、小さいといった数値以前の量の経験をすることを目的としています。
子どもたちはこんな風に、順番がバラバラになった立体をタワーにします。今回は大人の方に体験をしていただくために、10名の方に協力を依頼し、円になって座っていただきます。そして両手を後ろにしてもらい、1つずつ立方体を手に乗せていきます。
高子さんが声をかけます。
「“1番大きい立方体を持っている”と思う方、前に出してください」
「え~、、、ざわ、ざわ」会場がざわつきます。
自信を持って出される方、ドキドキしながら出される方、さまざまです。
「“次に大きい立方体を持っている”と思う方、前に出してください」と順番にピンクの立体を出していただき、3度目の挑戦でピンクタワーが完成しました!
すべての立方体が積まれ、ほっと安堵のため息が聞こえるなか、高子さんから一言。
「この活動は3歳の子どもがします」
会場が笑いに包まれます。
ピンクタワーの他にも、様々な道具が紹介されました。
【2項式、3項式】
(a+b)3、(a+b+c)3の公式に合わせたキューブで、8個、27個からなる立方体・直方体をケースの側面やふたを見比べながら組み立て、楽しみながら数学的思考を経験する道具。実際にキューブを動かして、視覚と触覚で公式の内容を経験できます。
【はめ込み円柱】
木製のブロックにつまみのついた、大きさの違う10本の円柱が納まっています。それぞれの円柱の寸法は規則的に段階付けされていて、1つのブロックの特定の穴には1つの円柱しか入らないようになっています。円柱を正しい穴にはめこむ動作や、円柱の大きさの変化を、並び替えなどによって理解し、円柱のつまみを利き手の3本の指で持てるようになり正しい鉛筆の持ち方につながることや、目で見て、持って、大きさや重さを体験することで、数値以前の量の経験をすることができます。
【地球儀】
「地球儀(陸と海)」は、陸地はザラザラ、海はスベスベになっている陸と海だけの地球儀、「地球儀(大陸)」は、大陸に色分けされています。どちらも回転し、視覚と触覚で地球の様子、各大陸の名前、形、位置を知ることができます。
スタッフが紹介した後、参加していただいた皆さまに触れていただきました。「子どもの家」へ通う子どもたちは、自分の知っている道具にうずうず。「これ知ってるよ」、「教えてあげる!」など、先生役を立候補する声も聞こえました。
最後にスウェーデンのサムスペールという玩具を紹介します。
10人で行う協力ゲームで、言葉を使わずに的を釣り上げ、ある場所に集めるというゲームです。お客さまの中から10名参加者をつのり、早速挑戦です!
今回は4つの的を狙いました。言葉を交わさずにもくもくと目標物に向かいます。およそ1分半の間にすべての的をゴールまで運び終えた大人チーム。感想を聞いてみると、「“アイコンタクト”や“なんとなく感覚”で的を目指すの方向を決めた」と、お話ししてくださいました。
「子どもの家」チームで挑戦しました!
10名の子ども参加者が協力します。つい「そっちじゃない」と声が出たり、小さな指さしが見えたり、2歳、3歳のお友だちも参加し、3分くらいで的を運び終え、会場はあたたかい拍手に包まれました。
初めてモンテッソーリ教具に触れた方もたくさんいるので、また企画などで紹介していきたいと思います。
(丸木佳里)