第84回「ピースボート子どもの家」オープン!
【お仕事編】
出航3日目の7月11日、洋上保育園子どもの家がはじまりました。
ご存知の方も多いかと思いますが、ピースボート子どもの家では「モンテッソーリ教育」を取り入れています。
今クルーズ参加の子どもたち、出航時点では3名と少なめとなりました。本来「子どもの家」とは2才半から5、6才までの環境を指しますので、今回は 特別なプログラムとして実施しています。また、幼い子ども達1才~3才の3人で構成されるクラスは、従来のモンテッソーリクラスのサイズではありません。それでも、与えられた環境で少人数ならではのアットホームできめ細やかな保育をし、精一杯子ども達の成長のお手伝いをすることを目指しています。
では、今回の洋上ピースボート子どもの家の様子を見てみましょう。
モンテッソーリ教育を実践する園では子どもの活動を「仕事」と呼んでいます。それは「大人の仕事が生活の糧のためならば、子どもの仕事は自 分自身をつくること(人間を形成すること)」というふうにとらえ、子どもが自立しようとする欲求を尊重しています。
今回は「子どもの家」が始まってまもなくの子どもたちですが、早速「お仕事」に夢中になっている様子をお伝えしたいと思います。
第一日目の朝はなかなか家族と離れられず、大泣きしていた子どもたち。二日目も朝の別れは涙、涙でしたが、ずっと泣いてばかりではありません。涙が止まると部屋に置いてあるものが目に入ってきます。「おや!?何だか楽しそうなものがこの部屋にはいっぱいあるぞ!」と思ったのか、1歳児のヒナミくんが真っ先に手に取ったのが「じょうろ」。先生が水を注ぐ場所まで誘い、ゴムの木に水を遣るところをまず見せます。その間、じーっと食い入るように見つめるヒナミくん。水がなくなると「ぼくも早くお水あげたい!」と言わんばかりにじょうろに手を伸ばします。じょうろを手にするとスタスタ水を注ぐ場所まで歩いて行って「早くお水入れて!」というような表情で先生の方を見つめます。じょうろにお水を入れてあげると何度もこぼしそうになりながら歩いて行き、ゴムの木にお水をかける。ひなみくんはこの一連の活動を満足のいくまで何度も何度も繰り返しました。
保育園が終わり迎えの方が来ると、真っ先にじょうろを持って見せにいくヒナミくん。
次の日、保育園三日目の朝、まず一番に駆け寄って手に取ったのが「じょうろ」。それからしばらく水遣りを繰り返し、とても自然に子どもの家に馴染んでいきました。
慣れ親しんだ自分の「お家」からピースボートの「お家」へ。子どもたちの生活環境はガラッと変わります。最初は慣れなくて不安もあるけれど、「子どもの家」には子どもたちが安心して生活できる環境が整っています。ヒナミくんにとって最初に「子どもの家」と繋がることができたのは「水遣り」という「お仕事」。子どもたちは、子どもの家にある教材を使って生活することにより、「ここはぼくがいてもいい場所なんだ」という安心感を得ていきます。そしてだんだん「子どもの家」が自分の「居場所」になっていきます。
ピースボート子どもの家は賑やかな船内の中では珍しく、静かで穏やかな時間が流れる子どもたちだけの場所。そこは「いつもと同じ」ということが大好きな3歳までの子どもが安心して過ごせるように、家具の配置や生活パターンにいくつも工夫がされています。その工夫に助けられて子どもたちは家族から離れて少しずつ「子どもの家」に慣れていきます。その「工夫」についてはまたの機会に紹介したいと思います。
地球一周の旅はまだ始まったばかり。これからもピースボート子どもの家をよろしくお願いします!