アイスランドから世界が変わる

6月18日  レイキャビック(アイスランド)

地球の北端から、世界が変わりつつあるのを感じて

t02200165_0461034611351105391人口31万人。

男性の平均寿命は世界1位。

出生率はヨーロッパでNo. 1。

GDPは世界トップクラス。

ビョークやシガーロス、独特のアートや音楽を世界に発信しつづけ、

電力の100%を自然エネルギーでまかなっている超・環境先進国、アイスランド。

日本と同じ火山国のこの国は、

振り返ってみると、今回の旅でいちばん大きなエネルギーを感じた場所だった。

実は出発前の私は「北欧」に行くのが楽しみすぎて、

そのさらに先にこんなにゴージャスな寄港地があることに思いを馳せることができていなかった。

よくよく地図を見てみると、アイスランドがどこにあるか、その地理を考えただけで、

どれだけ未知で、新しいエネルギーの潜んでいそうな場所かがわかるのにね。

だって、アイスランドがあるのは、ここだよ、ここ(↓)。

t02200165_0250018811351106499アイスランドは、地図の左上にある、赤い島。

イギリスよりどれだけ北にある島なのか、地図をよくよくよーく、見て。

地球の、こんなに北の端の端にある。

そう、ピースボートだって、北極圏(!)を抜けてからアイスランドに到着したのだ。

私たちが訪れたのは、アイスランドの首都、レイキャヴィク。

ここは北緯66度近くに位置している。

でも、アイスランドの海域には暖流であるメキシコ湾流が流れてきているため、

緯度のわりには冬の気温はそれほど低くない。冬の最低気温だって、せいぜいマイナス10度台。

日本の北海道よりも暖かいといっても言いすぎじゃない。

勝手に極寒の土地を想像していた私は、

まず、船を下りた瞬間に感じたあたたかい土地のパワーに、圧倒されてしまった。

アイスランドは、「火と氷の国」と呼ばれている。

火山のせいなのか、ユーラシアプレートが生まれる場所だからなのか、

とにかく船を出て地面に降り立った瞬間に、土地が「生きている」感じを強く受けた。

こんな気持ちで「土地」に出会ったのは、

マダガスカルの森、ケニアのサファリでみた朝焼け、初めて訪れたころのバリ、

それにハワイイとラパヌイ(イースター島)くらいだ。

こういう土地のパワーがどこから来ているのか、私は知らない。

ただ、そう思うのは決して私だけじゃないことが、ピースボートで旅していると面白いほどよくわかる。

ラパヌイやアイスランド、つまり、いわゆる「絶海の孤島」に来ると、

誰もが等しく、この「パワー」を感じるらしい。

だってね、

「スピリチュアルなこととは生涯無縁でやってきました」という感じのオジサマ参加者たちだって

土地に降り立つなり、「なにか不思議なパワーを感じるねえ」とかいう言葉を漏らしてしまうわけです。

t02200165_0461034611351109053どうやら、土地の「パワー」を感じるのは2歳児も同じらしい。

モモ、かなりしばらく、黙って前方をみつめていました。

t02200165_0461034611351119195ピースボートも、きらきら光ってきれい。

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↑ これは、オノヨーコさんの「ピースタワー 」。

ピースボートが停泊していた港の沖に見えた、ヴィーズエイ島に、ポツンと建っていた。

ジョン・レノンの67回目の誕生日である2007年10月9日の夜に世界平和を祈念して建てられた

有名なタワーだけど、残念ながら、夏の白夜のあいだはただの「台」。

t02200160_0465033911351121565アイスランドは、地熱発電で有名な国。

国の電力の80%近くを地熱でまかなっている。

あと20%は水力や水素だから、合計すると「100%自然エネルギー」をすでに達成している、

世界一のスーパー環境先進国だ。

地熱や熱水の存在は昔から国民にとって秘密でもなんでもなくて、

生パンを地中の箱に入れてパンを焼いたり、裏庭を掘って蒸気湯沸し器を設置したりしてきたんだって。

アイスランドが緯度のわりに寒くないのはメキシコ湾流のおかげのみならず、

温泉や地熱を上手にお風呂や家庭内の暖房用に使っているからに違いない。

「国全体が床暖房」状態なんだもん。

さらに、地熱ポカポカの天然の床暖房効果をビニルハウスに閉じ込めて、

温室栽培をしているおかげで、北緯66度の極寒の地でも、野菜や果物がよく育つ。

レイキャビクのスーパーでは、「アイスランド産」のトマトやバナナ(!)が売っているのは、

そういうことなのね。

地熱を利用して医療やスパを作り、地域おこしをしている場所もある。

その最たる例が、地熱発電で電力を得るときに出る温水を捨てずに利用した「ブルーラグーン」。

「世界最大の露天風呂」なんていうからには、絶対チェックしなくてはと

桃と、「子どもの家」の先生たちと一緒に遊びに行ってきた。

t02200151_0487033511351122625レイキャビックから、バスに乗る。

見渡す限りゴツゴツの岩場(溶岩)が続く平らな土地を車に揺られること40分。

あまりに自然のままの姿の広大な土地に…

出ました。 ブルー・ラグーン!

t02200171_0475036911351124817世界最大の露天風呂は、まず水を見てみてびっくり。

モモが、「プールのおみず、しろいね。あおいし」 と言ったのだけど、まさにそんな色。

t02200143_0800052111351126164ブルーラグーン、その規模にもびっくり。

温泉の端から端まで行くのに10分かかりそうなくらい、とにかく広い。

「温泉」とかいうけど、雰囲気は完全にリゾートだった。

水着を着て入っているのは、若い人、それも女性が圧倒的に多い。

お水はなめると塩辛くて、メッチャクチャな美肌効果がある。

水が白いのは温泉の底にたまった石灰成分で(青色はたぶん空の色の反射!)、

入っているうちに肌がツルツルしてくるのがわかる。

泥パックもしたい放題だったから、お湯からあがる頃にはもう、ピーッカピカ。

ヨルダンとイスラエルにまたがる死海の泥パックも有名だけど、ここの美肌効果はあの比じゃない。

こんなに短時間で、こんなに肌が生き返ったの、初めてかもしれない。

私はモモ連れだったから温泉だけにしたけど、本当は施設内にスパやサウナもあって、

この水とこの泥でマッサージも受けられる。そこまでやったら、いったいどんな肌になるんだろう。

t02200152_0484033511351127139しばらく入るとのぼせてくるのだけど、「ちょっとだけ」外で涼むというのが難しい。

だって、外はダウンジャケットを着るような気温。子どもたちも、寒そう!

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ここには、いわゆる「エコっぽい」演出はまるでない。

温泉の外には緑なんてまったくなくて、見渡す限りの溶岩原だ。

でもそれが、この土地のあるがままの姿なわけで。

大自然と共存しながら、化石燃料を使わずに、こんな最先端のスパを作れるなんて。

青い空と白い海、澄んだ冷たい風に癒されて、子どもたちは久しぶりの水泳にはしゃぎまくれて、

私はなにより自分の肌の再生っぷりに感激して、最っ高~だった。

あとになって、

ブルーラグーンに温水を供給している地熱発電所に技術を供給したのは、

日本の企業、藤井重工なんだということを知った。

「やればできるんじゃん!」

と北欧から続いている「Yes We can」モードがまたさらに沸騰した。

t02200159_0463033411351128949地球には、人間が必要とするすべてのエネルギー量をまかなってあまりある太陽光が降り注いでいる。

その太陽は、風力や水力、地熱、潮力…ちょっと工夫すれば今の技術でも十分に利用可能な

エネルギーを、こんなにもたくさんのかたちで私たちに供給してくれている。

地球の環境は、「人間の文明が進化しすぎた結果、破壊されている」んじゃない。

人間の文明がまだ未発達で、社会構築のセンスがないから、自分たちの住んでいる地球を

壊れるほど酷使するなんていう浅はかな状態になっているだけだ。

地球は、今も、こんなにも素晴らしい場所なんだ。

人間がもっと深く知的であることができれば、すべての生命にとって住みやすい場所を作ることも

今からだって十分に可能なんだ。

大人がそれをよく理解しないままに、子どもたちに

「きみたちの未来はあぶない。地球は壊れかけている」 と呼びかけて、

「だからマイバッグを持とう、マイ箸を持とう」

なんて、浅はかすぎる。

地球のこれからの可能性を一緒に考えることをしないで、

「地球は今、危機にある」

という部分だけクロースアップする紋切り型の環境教育をするなんて、はっきり言って罪だ。

子どもの希望や無限の可能性にフタをするなんて、大人が一番しちゃいけないこと。

子どもたちには、「やればできる!」というメッセージを伝えなくちゃいけないし、

こんな風にやればできるんだ、というワクワクするような例をたくさん見せなくちゃいけない。

だから大人は、そういう生きた希望をたくさん知っていなくちゃいけない。

北欧でも、アイスランドでも、そんな例をたくさん教えてもらった。

t02200167_04660353113511301462030年までに化石燃料を 一切使用しない国造りを目指しているアイスランドでは、

地熱以外にも今後大きな希望になりそうな分野に早くから投資をしている。

水素エネルギー。

エネルギーとして貯めることもできるし、

ガソリンの代わりに車や船の燃料として使ってもいい。

車を走らせて、その燃料として使っても

電気と水とごく微量の窒素しか発生しない、枯渇しないサステナブルなエネルギー源。

今はまだコストがかかるから一般レベルで実用化されていないけれど、

この分野の研究が進んだら、地球温暖化やエネルギー問題が解決できるのみならず、

資源争いの紛争がなくなったり、エネルギーを地域分散型で自給できたりと、明るい未来が広がる。

(→水素について、詳しくはgreenz.jpの「R水素ネットワーク 」サイトでどうぞ)

そんな水素エネルギーの実験として、

世界でいち早く「水素バス」を導入した市がまた、レイキャビック。

レイキャヴィク市内に水素ステーションがオープンしたのは、2004年のこと。

しかも、その水素スタンドはシェルの既存のガソリンスタンド内に建設されたもので、

ガソリンも水素も入れられる『ガソリン&水素ステーション』となった。

ガソリンスタンドならぬ「水素スタンド」。

すごくない? 

未来予想図じゃない?

水素ステーションはVesturlandsvegurという大通りにある。

そこで水素補充をするバスは、乗客定員70人、最高時速80km、

1回の水素補充で200 ~ 300kmの走行が可能な状態で、市内を走っている。

漁業が盛んなアイスランドではもちろん、この水素燃料を漁船に使う実験もはじめていると聞いて、

「いつの日か、ピースボートも水素で走るようになったりして・・・」

とワクワクしたのでした。

レオナルド・デカプリオがプリウスを愛用しているのは周知のことだけど、

彼やハリソン・フォードは、最近この水素カーに乗り換えたんだそう。

大自然の景観とエネルギー、

地熱のクリエイティブ利用、

水素社会の未来予想図・・・

ってそれだけでワクワクしてやまない国なのだけど、

この寄港地がとりわけズシンと胸に残っているのは、

ひとりとても素敵な人に出会えたからというのがあるのかもしれない。

人生、「出会い」に勝る学びはない。

アンドリ・スナイル・マグナソンさん。

33歳の若さで2度のアイスランド文学賞を受賞した作家で、3児の父。

アイスランドの自然の美しさともろさを描いた絵本『青い惑星のはなし 』は20カ国語に翻訳されている。

アンドリは今回、12歳の長男とその友達を連れて、1週間ピースボートに乗船してくれた。

その間、彼が講演してくれたこと、朝のコーヒータイムに教えてくれたこと、

ことばのひとつひとつが心に残っている。

ビョークやシガーロスにも影響を与える思想家でもある彼がどれだけ素敵かって、

それはまた次回、別の機会をみつけて書こうと思う。

アイスランド、大好き!!

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