アテネで訪ねる4000年の歴史とモンテッソーリの夢

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5月23日 ピレウス(ギリシャ)

アテネで訪ねる、4000年の歴史とモンテッソーリの夢

(※記憶をさかのぼって、船旅日記を書いています)

 

3度目のアテネ。

毎回新しい出会いと発見のある場所だけど、

今回のアテネは、とくに楽しかった。

だって、やっぱり持つべきものはお友達!!

どこを旅していたってそうだけど、一人旅よりも、グループ旅行をするよりも、

地元に友達がいて、「暮らし」に一歩いれてもらえるのが断然楽しい。

 

今回は、この町に住んでいる深津高子さんのモンテッソーリ仲間のイリーニさんを訪ねた。

ピースボートがピレウスの港に着くなり、イリーニさんご実家専属の運転手さんが、車で迎えに来てくれた。

「ご実家専属の運転手?!!!」

とびっくりする小市民の私に、高子さんが教えてくれたことによると、

イリーニは、高子のモンテッソーリ仲間であり、世界でも有数のクルーズ会社(!)の社長令嬢だそう。

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右がイリーニ。ピースボート子どもの家に今回保育士として参加してくれた谷本和子さんと、

高子さんのパートナー・カフェスローのオーナーである吉岡淳さんも一緒!

 

イギリス留学中にモンテッソーリ教育に出会ったイリーニは

アテネの閑静な住宅街の一角に、古い教会跡地を素敵に改装したモンテッソーリ・カレッジ、

つまり先生たちの養成学校を経営している。

 

運転手のトニーさんにひととおりアテネの市内観光で連れまわしてもらったあと、

ほっとするような空間のそのスクールを訪れた。

 

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先生養成のためのスクールといっても、中の雰囲気は「子どもの家」そのもの。

とてもゆったりとした配置でモンテッソーリの環境が整えられていて、

アテネ観光中はおネムでご機嫌ななめだった桃も

 

「もも、これしってる!」

「こどものいえとおんなじ!」

 

と大はしゃぎ。

大人が見学しているあいだ、まるで自分の家かのようにくつろいで遊んでいました。

 

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そう、「子どもの発達に応じた環境を整える」教育という意味では当たり前なんだけど、

考えてみたらモンテッソーリの環境って、「世界共通」なんだ。

 

日本の子どもも、ギリシャの子どもも、

パレスチナの子どもも、人の子どもはみんな、

2歳になれば秩序の敏感期をむかえてヤダヤダ期を体験し、

2歳半には「小さいもの」への敏感期をむかえてこだわりやさんになるんだね。

 

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旅をするお兄さん、お姉さんの写真撮影に毎日触れる中で、「ピース」を覚えちゃった・・・

 

この素敵なスクールで勉強する将来のモンテッソーリ教師候補のみなさんに

高子さんと私から、簡単に「ピースボート子どもの家」の様子をレポートすると、

みんな単純に「船の上にモンテッソーリスクールがある」という事実にびっくりしていた。

 

「いつ、海外からも生徒を募集するの?」

「ギリシャでも募集をかけて、そして私を先生として採用して!」

 

なんて、とっても嬉しいエールもいただいて。
そうそう、そうなんです~!

来年のプログラムで10人以上の日本の子どもたちが船に乗ってくれて内容が安定したら、

2年後からは母国語が違う国からの子どもとお父さん、お母さんも一緒に旅ができるようにしたい!

とひそかに考えていたところなんです~!
もちろん夢としてはそう思ってやっているけれど、

実際にこうして他の国で出会う人たちにそう言ってもらえるとすごくアガります!

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「よちおかさーん、こっちにおいで。ももちゃん、おちゃ、つくってげるからね」

 

イリーニのご自宅は、パルテノン神殿・アクロポリスをのぞむ旧市街、プラカのど真ん中にある。
ギリシャの地価でいったら、日本の表参道のような場所。

しかも4千年分の歴史と文化をたたえるプラカにあるおうち・・・

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いったいどんな場所かと思ったら、とーっても素敵なお宅でした。

居心地がよくて、思わず帰船リミットぎりぎりまでおしゃべりして滞在。

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このおうち、実はいたるところに遺跡の痕跡があり、世界遺産の専門家である吉岡さんは大興奮。

だって、紀元前2000年ころに作られたアクロポリスの一部が、崩されないまま、おうちのいたるところにインテリアとして「利用」されてるんです。信じられない!紀元前からあった井戸とか。

石の文化圏では、こうやって古きよきものが大切にとっておけるからいいなあと心底思いました。

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イリーニの用意してくれたギリシャ料理も最高~。

(桃はここギリシャでピスタチオと恋におち、10個でも20個でも自分でわって食べるようになりました)
中庭に訪れる素敵な夕暮れにおいしいご飯。思わず話も弾みます。

 

夜も更けてくる中で世界の子どもたちについて話を進めるうちに、

高子さんやイリーニもメンバーの一員である「国境なき教育者会議」のことを教えてもらった。

 

「国境なき教育者会議」というのは、

2年前にモンテッソーリの先生たちとその知り合いの国連関係者、国際NGOスタッフが

集まってはじめたもの。

 

世界中の病院や孤児院、貧困地域、難民キャンプのような

「本当にいい環境を必要としている子どもたち」のところに

どうやってモンテッソーリのような平和教育を導入していくか、

その報告や課題を共有する場なんだって。

 

贅沢なことに、こうした教育者たちは2~3週間泊まり込みで集まって、

お互いをトレーニングしあいながら情報を交換しているとのこと。

そう、子どもに携わる人こそ、たまにそうやって改めて勉強する機会や、

他の世界との情報交換をできたら、子どもたちにとっても最高だもんね。

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ワインも進み、夕暮れの気持ちいい風に吹かれるうちに

「国境なき教育者会議の4度目を、さ来年のピースボート洋上で開催しよう!」

という話まで飛び出てきた。

 

世界中から30~40人の教育者たちが船に集まって、ヨルダンから合流。

実際にパレスチナ難民キャンプを訪ねて、北欧のモンテッソーリ園や難民庇護施設を訪ねる。

机上の会議とワークショップを2週間続けるよりも、ずっと濃い時間が過ごせるんじゃないかって。

高子さんは、今回パレスチナ難民キャンプを訪ねたときに

思春期の(とくに)男の子たちの、どこにも向けられないエネルギーの向きかたに

「土がない。学校がない。エネルギーを向けられる先がない」

と心を痛めていた。

 

思春期の若者というのは、

男の子は声が変わって、女の子は胸が大きくなって、

自分や社会について、あらためて「どうなってるの!?」と向き合う時期。

そういう意味で、乳幼児期と同じくらいの爆発的吸収力とエネルギーを抱えているのだそう。

 

だからこそ、この時期に土に触れることや社会的な活動に出会うことができれば

社会の中での自分の存在に安心感と自信を得てまたグングンと花開いていくのだけれど、

逆にエネルギーを向ける先を見つけられないとき、自分や他者を傷つける方向に向いてしまうんだって。

 

ヨルダンのパレスチナ難民キャンプにいた若い人たちは、

紛争と貧困がいつもすぐ目の前にある状況に生きながら、

キャンプの外の世界と自由に行き来できる状況になかった。

そして、その状況を変えるために自分がエネルギーをそそぐ先も持っていなかった。

 

「ああいう場所にこそ、農場学校があったり、

コミュニティみんなのために野菜を育てられるプロジェクトを作ったりして、

若者たち自身がプロジェクトにかかわることができたら」

 

というのが高子さんの願いだった。

カンボジアの難民キャンプで、モンテッソーリの「希望の家」を通して

日々表情が明るくなる子どもたちを見ていた高子さんならではの実感なんだろう。

 

確かに、30~40人の「国境なき教育者たち」が一緒にそうした世界の現場を旅しながら

話し合う場を持つことができたら、そういうアイディアがひとつずつ形になっていくのかもしれない。

ピースボートもそれまで頑張って、

こういう素敵な出会いとアイディアをひとつずつ形にしたいなあ。

 

帰国したら、さ来年の国境なき教育者会議をピースボートに招へいすべく、すぐに動き出そう。

 

世界に広がる「子どもの家」。

夢はどんどん膨らみ、ワクワクしたまま帰路についた。

・・・その晩おそく、船はイタリア・シチリア島へ向けて出港。

 

アーモンドとブラッドオレンジに彩られた、地中海のおへそ。

シチリアでは、どんな出会いがあるんだろう。

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