日常生活の練習

今回は、子どもの家の保育について紹介します。
「モンテッソーリ教育」と言われると、「教具」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
(「教具」とは、子どもの発達を助けるための教材であり、“日常生活” “感覚” “数” “言語” “文化”の5領域に分かれ、それぞれひとつの目的を達成するために使われています。)

なかでも、“日常生活”は、子ども自身の身づくろいに関するもの(着る、脱ぐ、顔や手を洗う、髪の毛をとかす、靴を洗うなど)と環境への配慮に関するもの(床掃き、机洗い、洗濯、食器洗い、植物の世話など)に大きく分けられ、この“日常生活”の仕事が、子どもの肉体的、精神的、道徳的な面から、全発達にとって大切なものはないといわれるほど、重要な領域でもあります。

そして、子どものサイズに合った道具を用意し、自分で取り出して終わったら元に戻すことができる環境をつくることで、家庭でも取り入れることができるモンテッソーリ教育なのです。

さて、子どもの家では、どんなことが行われているのか、少し紹介したいと思います。
机の上に消しゴムのかすが落ちていました。
ちりとりとほうきで掃除をする、サアヤちゃん(2歳)
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石鹸をブラシにつけて机を洗います。
泡をふき取っている、ハルカちゃん(4歳)
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リリイちゃん(3歳)は、洗濯板を使って汚れた雑巾を洗っています。
泡立つ様子が興味深いようで、この日は2時間も洗い続けていました!
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自分の履いてきた靴も洗います。

きれいになったのかな?と確認している、キコちゃん(2歳)
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みんなのコップを洗う、モモちゃん(6歳)
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子どもの家で使うコップは、陶器です。
子どもの家では、陶器やガラスといった、注意深く扱わないと割れてしまうものを使用します。
もし割れてしまったら、次にどうしたらよいのか、子どもが考えるきっかけになるのです。

そして、ものを大切に使うということも学んでいきます。
観葉植物に水やりをする、キオくん(2歳)
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ゴムの木の葉を拭く、タロウくん(3歳)
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水がこぼれたときには、自分で後始末をします。
いつも決まった場所に雑巾が用意されているので、最年少のサリイちゃん(2歳)も自分で床用雑巾を取に行き、拭いていました。
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おやつの準備もします。
包丁を使うのも初めてという子もいましたが、回数を重ねるごとにだんだん手つきも慣れてきました。

トマトを切る、リュウタくん(6歳)
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りんごを切る、ココちゃん(6歳)
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オレンジを切る、シンちゃん(5歳)、
切った果物をトングでお皿に盛りつける、サリイちゃん(2歳)
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最近、大きい子が年下の子に教えている場面をよく見られるようになってきました。
保育士が言わなくても、自ら進んで教えてくれているのです。
これもまた、異年齢クラスの良い一面ですね。

洗濯の仕方を教わる、アンちゃん(3歳)と先生役のシンちゃん(5歳)
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さて、“日常生活”において一つ大切なポイントがあるのです。
これらの活動は、全て真似事(ままごと)ではなく、本物であるということ。
そして、この活動も見せかけではなく、現実の環境の中で実際に行われているということです。
保育士が、“洗濯をするための布”を準備してるわけではありません。
おやつのときに、お茶をこぼしてそれを拭いた雑巾が汚れたから、子どもたちは洗うのです。
机の上にゴミが散乱していたから、ちりとりとほうきで掃くのです。

モンテッソーリ教育では、「現実のこと」「本当のこと」に触れることを大事にしています。
そして、ままごとではない本物のお仕事をしている子どもたちは、真剣な表情で集中して取り組んでいるのです。

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