おやつの時間に広がる世界

洋上モンテッソーリ保育園「ピースボート子どもの家」では、いつも子どもたちの「じぶんでできた!」という気持ちを応援します。

だから、子どもたちのおやつも、大人が最後まで準備することはありません。

 

毎日10時になると、船のキッチンから、大きな果物や、まるごとトマトやきゅうりなどが、そのまま運ばれてきます。

自分の取り組んでいる活動にひと段落した子から、「おやつのしたく」というみんなのための仕事に取り掛かるのです。
地球一周する船の洋上にいると、おやつの時間にも異文化に触れる機会が豊富です。

寄港地ごとに、現地の食材が船に積まれるので、野菜や果物からも世界を感じてしまいます。

 

シンガポールを出港して明け数日後、10時にクルーが「子どもの家」に運んできてくれたのは・・・


パパイヤ!!

o0684091212037674600

バナナやきゅうりなら喜んで包丁を手に取り、丁寧にひとつずつお皿に乗せる子どもたちですが・・・今回のパパイヤはなかなかの大物でした。笑

 

「なんだろうね、これ。なかはどんなふうになっているんだろう?」

 

緑色の大きな果物に、先生の手もかりて、真ん中に「ざくっ!」と包丁を入れると・・・オレンジ色の実の中に、黒くてまんまるの種がたくさん!
南国の甘い香りが広がります。

 

4歳のたくみくんは、もうワクワクが止まらないといった表情でのぞきこみ、「たね、たくさん~!」と嬉しそう。

 

さっそくみんなで順に種をとり、一口サイズに切りました。

 

o0800060012037674602

「おいしそう~」

「いくつあるかな」

「子どもが14人でしょ、先生もいるでしょ」

「ひとり2こくらい?」

「ひとり3こなら、みんなで食べられるよ」

「ひとり3こか!」

o0800060012037674603

・・・即席の看板までできちゃいました。笑

o0800060012037674601

2歳の子も、6歳の子も、先生たちにも3こずつ。
とっても平等なパパイヤ係のみんな。

甘い匂いに誘われて、自分の作業を終えた子も次々におやつテーブルに集まってきます。

o0800060012037674604

配膳も自分たちの「仕事」なら、片付けだってもちろん自分たちで。
2歳のそらくんだって、こんな風に子どもサイズの本物の洗い物セットが常備されている環境なら、自然とお皿とコップを自分で洗うことを覚えます。

 

大人は「こぼすからやめときなさい」と子どもの仕事を取り上げてしまいがちですが、子どもの手が届く高さに、子どもの小さな手にぴったりの道具が用意されていて、その使いかたをちゃんとデモンストレーションすることができれば、子どもはいつだって喜んでお手伝いしてくれます。

 

大人用の大きさの雑巾やスポンジは、子どもの手にあまりますが、子どもサイズのスポンジ(市販のものを1/2または1/3に切るだけ)や子どもサイズの雑巾(手にぴったりのサイズをチクチク縫います)を用意すれば、大人も使っている道具を自分でも使うことができる喜びに満ちた子どもの顔に出会うことができます。

 

o0480064012037683005

「ピースボート子どもの家」に限らず、世界中どこのモンテッソーリ園に行っても、

 

子どもサイズの机といすがあり、

子どもサイズのティーセットがあり、

子どもサイズのトレーがあり、

子どもサイズのピッチャーとコップがあり、

子どもサイズのアイロンがあり、

子どもサイズの洗濯板があり、

子どもサイズの包丁もあり、

子どもサイズの掃除道具があるのです。

 

一度、大人から「見ててね」と使いかたを見せてもらったあとは、お皿が汚れていてもいなくても(笑)、一生懸命に洗います。

 

また、小さな子が途中、ちょっとやりかたに戸惑ったりすると、年長の子どもたちがちゃんとそれに気がついて「こうするんだよ」と手助けしてくれることもしばしば。

異年齢・縦割りクラスのいいところですね。

 

o0800106712037674992

モンテッソーリの保育園、幼稚園では、基本的に、0~2歳半、2歳半~6歳が同じクラスで生活します。

 

学校を卒業した後、大人として暮らしていく社会には、同年齢・横割りの環境なんてなかなかありません。
人間の自然な発達には、やっぱり異年齢の環境がいい!と思います。

 

小さな子にとっては、年上のお兄さん、お姉さんの活動、振る舞いがいつも目に入る環境です。
それは「いつか自分もあの活動をやってみたい」という、自発的な活動の原動力にもなります。

 

同時に、年長の子どもにとっては、自然と「待つ」ことを覚えたり、(自分もそうしてもらったように)年少の子どもに適切な手助けをすることになるので、思いやりと助け合いのコミュニティーが自然とつくられます。

 

大人が介入しなくても、子ども同士の助け合いでみんなが気持ちよく生活していられる場所。
平和はこういう場所からはじまるのだなと思います。

 

今日の子どもの家では、みなみちゃん(5)たちが洗ってカゴに入れてくれたものを、しんちゃん(4)がみつけて、きれいにふいてくれるようです。

 

食器ふきだって、もちろん子どもの手のひらサイズ。
ぴかぴかになるのが嬉しくて、「だれかのコップ、ぬれてるのあるかな~?」と毎日仕事を探しにきてくれる子もいますよ。

o0640048012037683313

子どもの毎日は、発見と成長の連続。

今日は、おやつの時間にだって子どもたちの世界がぐんと広がる「子どもの家」の日常を紹介しました。

明日のおやつは、なにかな~?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る